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富士登山で心配な高山病とその対策

フジメイトトラベルブログ

富士登山で心配な高山病とその対策

2016年5月26日 (木)

標高3,776mの富士山は日本一高い山!「一度は登ってみたいな」とお考えの方も多いかと思いますが、一つ気になるのが「高山病」のこと…。「高山病になることって、ありますか?」とか「高山病を防ぐ方法ってあるの?」といったお問い合わせ、大変多くいただきます。富士山で遭遇する可能性のある高山病について、ご紹介します。

そもそも「高山病」って何?

高い山に登るときに高山病になる、というのは何となく想像がつきますが、そもそも高山病ってどういうものでどんな症状が出るのでしょうか…?

高山病とは…

高山病は別名「高所障害」とも呼ばれ、標高の高い山などで低酸素状態に置かれたときに発生する症候群で「低酸素症」のことを指します。高山では地上と比べてきわめて空気が薄いので、約2,400m以上の高山で酸欠状態に陥った場合、かつ低圧・低酸素に順応できずに生ずる一連の症状の事をいいます。 高山病は一般的に言われる「病気」ではなく、低酸素状態に対応しようとする体の変化なので、誰にでも起こりえる事です。発症の具合は人それぞれで差が大きく、年齢差や登山経験などに関係なく発症します。そのため、どのぐらいの高さで起こるのか、どのぐらいの体力があればかかりにくいかなどは、個人差・体調による差があまりにも大きい為、はっきりとご案内することは出来ません。しかし、突然発病して倒れるといった「病気」とは違い、必ずその前に兆候が現れて体が警告を発します。その体からの警告を察知することができるかどうかが重要になります。

じゃあその「兆候」ってどんなの?症状例は?

高山病の症状は人それぞれあります。標高が高くなるに連れて現れる主な兆候としては、眠気やあくび(脳に多く酸素を送る為に「あくび」が出ます)、 頭痛(頭が重い、鈍痛、頭を振ると痛い)、 顔・手・足に「むくみ」がでる、全身倦怠感、食欲不振、胸の圧迫感がある、 吐き気、不眠、放屁(気圧の低下で腸管内にガスが溜まり易くなる為)、下痢などがあります。二日酔いに似た症状もでます。このような兆候が出てきたときは要注意!

※標高3,000mクラスの山で起こる症状の一例です。個人により症状には差があります。

高山病の兆候が出てきやすい標高って?

高山病の兆候が出てきやすい標高は、人によってまちまち。一般的には2,000mくらい、高齢者の方は1,500mくらいからでもその兆候は表れます。五合目の時点ですでに2,305mの標高がある富士山では、場合によっては五合目でも高山病の兆候が表れる可能性があるわけです。ですが、単純にその標高にいること自体が問題ではなく、その標高に到達するペースの問題となります。1日に500m以上の高度差の下で発症しやすいと言われています。

高山病にかかってしまったら…

上のような症状がひどくなると、高山病となってしまいます。残念ながら高山病は「病気」ではなく、体が低酸素状態に対応するための防衛本能のため、「特効薬」は存在しません。より症状が重くなると、筋力低下や意識障害など、自力での下山が困難となってしまう場合があります。発症してしまった場合には、ガイドや山小屋スタッフ等にご相談いただき、すみやかな下山をおすすめします。実は高山病には「下山」が一番の特効薬なのです。

どうしたら高山病は防げるの?

高山病は、上記で述べたように低酸素に対応する防衛本能ですので、100%の回避は残念ながら不可能です。ですが、症状を起こしにくくする方法はあります!下記のようなポイントを意識していただくと、より山頂を目指しやすくなるかと思います。

【高地に順応する】
五合目の時点で標高は2,305m。ここまではバスでゆっくり登ってきましたが、やはりそこは2,000m超えの地。少し小走りするだけで息が上がってしまうほど、空気は都会より薄いのです。登山開始まではゆっくり高所に体を慣らしましょう。ガイド/案内人付きプランでは、高所順応のための休憩時間を設けていますが、フリープランの方も必ずこの高度順応の時間を設けて下さい。いきなり登り始めるのはNG!最低でも30分~1時間の休憩時間をとるようにしましょう。

【登山ペースはゆっくりゆっくり…】
高山病の主な原因は急激な高度変化。ゆっくりゆっくりと、体が高度を受け入れられるペースで登っていけば、高山病の可能性を減らすことができます。歩幅は小さく、足はあまり上げすぎず、ちょっとゆっくり過ぎじゃない?というくらいのペースがちょうどいいのです。ガイド/案内人付きプランの方は、先頭を追い抜かさないように!

【登山中はしっかり深呼吸を】
いくら酸素が薄いといっても、ゼロではありません(当たり前ですね)。薄い酸素を少しでも体に供給するためには深呼吸が一番!空気を供給といっても、空気を「吸う」よりもむしろ「吐く」ことを意識して下さい。生物の肺はよくできていて、空気がなくなると反射的に息を吸えるようになっています。しっかり息を吐いて肺の中をできるだけカラッポにすると、その分空気をたくさん吸えるようになります。登山中に疲れてくると、無意識に呼吸が浅くなってしまいますが、それは危険!「息が上がってきたな…」と思ったら、まずは息をフゥ~っと吐きましょう。それを繰り返していくことで、呼吸が徐々に落ち着いていきます。登山中の小休憩時などには、意識的に行うようにしましょう。「腹式呼吸」でお腹で呼吸をするイメージでの呼吸法を意識して下さい!

【装備品で体を締め付けすぎないように】
登山用リュックは、荷物と体を密着して安定させるために、胸部や腹部にベルトがついています。もちろん締めた方が荷物は安定しますが、締め付けすぎには要注意!きつく締めすぎると呼吸の妨げとなってしまいます。リュックのベルトは、荷物がグラグラとずれない程度に締めるようにしましょう。

【鉄分を多めに摂取しましょう】
鉄分が不足すると、酸素を体に送り込む血液中の「ヘモグロビン」が減少し、せっかく深呼吸で酸素を取り入れても、体内をうまく廻れなくなってしまいます。貧血の症状がある方などは、普段から鉄分が多めの食事を心がけるようにしましょう。栄養剤で補うのもいいでしょう。

【寝不足や二日酔いはもってのほか!】
何よりもご自身で意識的に管理できるのが、前日までの体調です。まずはしっかり睡眠はとりましょう。朝の集合時間も早いので、意識的に早寝されることと思います。もちろん、二日酔いするほどの飲酒なんてもってのほか!お酒が大好きな方も、登山前日は飲酒を控えて、早く寝るようにしましょう。また、富士登山の頃は暑い時期ですが、エアコンで冷やし過ぎて風邪をひかないように、ご注意下さい。

【山小屋での仮眠休憩時にも高地順応を】
1日目の山小屋到着後は、仮眠休憩とともに二度目の高地順応タイムとなります(一度目は五合目でしたね)。ただし、山小屋の中は非常に多くの人が入りますので、外以上に酸素が薄くなります。気分が悪くなってしまった場合には、出発までに深呼吸で呼吸を整えるようにしましょう。室内ではどうしても気分がすぐれない場合には、暖かい服装で少し外の風にあたり、そこでゆっくり深呼吸を行って下さい。

【悪天候の日は、より意識的に上記のポイントを実践!】
雨が降る…低気圧…気圧が低い…酸素が薄い…。そう、悪天候の日はそれだけで高山病のリスクが高まります。雨の中の登山という場合もありますが、そういった時には、上記ポイントをより意識的に実践するようにしましょう。

高山病の傾向と対策、何となくでもイメージしていただければ幸いです。とにかくゆっくり無理なく登っていただくのが一番!もちろん前日までに体調を整えていただくことも大事!その他、少しでも疑問に思うことなど、ツアー参加前にありましたら、お気軽にお問合せ下さい。富士登山経験のあるスタッフが、親切に対応致します。

 

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